と り こ

『田舎の紳士服店のモデルの妻』

宮下奈都さんの新刊を読みました。

29歳、2人の子供のいる専業主婦、梨々子が夫の生まれ故郷に戻って過ごす10年。

梨々子は自信がもてず、子供の頃に望んだ自分から外れてしまったことに迷い悩んでいる。

私には子供はいないけれど、梨々子の焦りはよく分かる。
あまりにも情報が多すぎるのだ。
そして、それは何かを選べ、何かになれと催促されているように感じるのだ。
誰も今のままのあなたでいいよとは言ってくれない。

でも、人間は変わる生き物だ。
私の場合、時間が変えさせてくれたように、きっかけは何であれ、梨々子も変わった。
だから、生きていくこと、それ自体に意味があると思う。

宮下さんは、この年代だと多くの女性が感じるであろう孤独を書き、そこから自分を取り戻していく様子をあっさりと書いている。
同年代の女性ならすんなりと読めると思う。

 終わっていない、どころか、始まってさえいない。どこかでそう思いたがっていた気がする。もちろん、とっくに始まっていて、すでに三十八年が経とうとしている。状況はおなじじゃない。ハッピーエンドでもない。リセットもできない。でも、一度、電池を抜いた。ひとりだと知ってしまった。私はひとりだ。みんなひとりだ。いい人とめぐりあえれば、お互いにそう思えればそれでいいじゃないの。すこし考えて、梨々子はメールを打ち返した。
「めでたし、めでたし」

(文芸春秋P213)

「電池を抜いた。」という一文に?と思ってしまったことでした。
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by torikomesi | 2010-12-06 14:27 | わたしの楽しみ

とりこのこれからのてあみ
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